(個人的)割安感の測り方-PER編・その3-【景気循環株と市況関連株にご注意を】
2015/07/06
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(個人的)割安感の測り方-PER編・その1-【最も基本的な指標の使い方】
↓PER編・その2はこちら
(個人的)割安感の測り方-PER編・その2-【実績PERと予想PER】
先週末、先々週末に書いた記事の続き物です。
今回はPERが通用しないと言われている景気循環株と市況関連株について書いていきます。
1.PERが通用しない景気循環株と市況関連株
PERが低いと企業価値に比べ現在の株価が割安であると言えて
PERが高いと企業価値に比べ現在の株価が割高であると言える。
上記の事から、低PER銘柄は割安感の解消を狙って割安株投資をするのに向いており、高PER銘柄には手を出さない方が良い。
これが、PERを投資尺度にして割安株投資をする際の基本的な考え方です。
ただ、中にはこの前提が全く通用しない銘柄、景気循環株と呼ばれる銘柄と、市況関連株と呼ばれる銘柄があります。
今回はこの景気循環株と市況関連株について掘り下げていこうかと思います。
2.景気循環株とは?
景気の動向によって、業績が大きく左右される銘柄のことを景気循環株と言います。
好景気時には売上・利益が急上昇し業績が良くなり、不景気時には売上と利益が急降下して業績が悪くなる、この循環を繰り返す企業がこれに当てはまります。
業種的には
・鉄鋼、化学、紙・パルプ、繊維、非鉄金属、石油・石炭製品、といった素材産業
・工作機械メーカー(業種でいうと、機械に属する企業が多い。次点で電気機器や精密機器など。)
・重厚長大産業(所謂、重工業。業種でいうと、製鐵【鉄鋼】、自動車工業・造船業【輸送用機器】辺り。)
が、当てはまります。
東証33業種のうち10業種は景気循環株に属する企業が多い業種という事になりますね。
会社名でいうと、○○重工業、○○造船、○○自動車、○○機械、○○機工、○○鉄工、○○精工、○○精機、○○製作所、というような会社名が多いですかね。
ただ、上に挙げた業種に属する企業が、全て景気循環株に当てはまるかというと、一概にそうとは言えないので、そこら辺は四季報を見て判断するしかないです。
(自分でいえば、電気機器・機械辺りは普通に投資対象になっている。)
3.市況関連株とは?
商品市場においての取引状況が株価の変動に大きな影響を与える銘柄・・・の事を言うらしいです←
簡単に言うと、原材料を輸入したり、原材料を加工したり、原材料を売ったり、原材料を運搬したり・・・という事をしている会社がこれに当てはまります。
業種的には
・原材料を輸入する / 鉄鋼、化学、紙・パルプ、繊維、非鉄金属、石油・石炭製品…etc.といった素材産業
・原材料を加工する / 自動車・ゴム製品(タイヤなど)
・原材料を売る(というか、資源権益を多数保有している) / 大手商社(卸売業)
・原材料を運搬する / 海運業・空運業・陸運業
が、あてはまります。
・原材料の輸入・加工に携わる会社は、原材料価格が高騰した時に業績が落ち込み、価格が下落した時に業績が伸びる。
・資源権益を多数保有している商社は、原材料が安い時には業績が落ち込み、高く売れるときには業績が伸びる。
・原材料の運搬に携わる会社は、原材料が売れない時は仕事が減り業績が落ち込み、原材料が良く売れるときには仕事が増え業績が伸びる。
このような特徴があります。
取り上げられている業種がそこまで景気循環株とは変わりありませんが、ゴム製品、商社、海運、空運(航空)が増えていますね。
4.景気循環株・市況関連株の値動きとPERの関係
基本的な考え方である
PERが低いと企業価値に比べ現在の株価が割安であると言える為、買い時となり
PERが高いと企業価値に比べ現在の株価が割高であると言える為、売り時となる。
これの全く逆を行きます。
つまり、PERが高い時(あるいは赤字でPERが算出できない時)が買い時となり、PERが低い時に売り時となる。
PERから見て割安だと思って買った株が、実は割高だった。
そんなことが起こるのが景気循環株・市況関連株です。
大手商社の株などはPERから見て、凄まじく割安に見えるのですが、実は、ほとんど魅力が無いんですよね。
5.景気循環株・市況関連株の買い時
4でも説明したように、PERが高い時に買い、PERが低い時に買う。
つまり、不景気で業績が落ちている時に買い、好景気で業績が良好なうちに売る、これが基本となります。
景気が良くなる前に先回りして買って、景気が良くなったら売るだけ、企業の分析とかそういうのは関係なく、ただタイミングだけが重要です。
6.景気循環株・市況関連株を投資対象とするべきか?
個人的には、景気循環株・市況関連株には魅力を感じません。
なぜなら、景気のどん底で景気循環株を買って利益を得るぐらいなら、景気のどん底で優秀な割安成長株を買ったほうが何倍も儲かる(・・・と思う←)からです。
7.PERが有効な業種とは?
とりあえず、景気変動によって大きく業績が動く企業はダメですので、上記で出てきた業種で、且つ、景気変動の影響を大きく受ける会社はアウトですね。
鉄鋼、化学、紙・パルプ、繊維、非鉄金属、石油・石炭製品、輸送用機器(自動車・造船)、ゴム製品(タイヤ)、商社、海運・空運、辺りはPERで測らない方が良いでしょう。
逆に、素直にPERで割安感が測れるのは、サービス業、小売業、卸売業(商社を除く)、ストックビジネスを手掛けている情報通信業に属する会社、辺りでしょうかね。
かなり投資対象が減りましたが、この4業種だけでも1000近くの企業があるので、別に困る事は無いでしょう。
ここら辺は個人の自由ですので、ここはお好きなように調整するといいかと思います。
PERは業種によっては全く役に立たなくなるという事を認識して、間違った使い方をしないように心掛けていきたいですね。
以上、個人的割安感の測り方-PER編・その3-でした。
ここまでお読みいただきありがとうございましたm(_ _)m